24. Our Lady of the Sign  受胎告知の聖処女


フモール修道院 

画像:2016/06/02撮影。フモール修道院、ナルテックス、丸天井。
中心にThe Virgin of the sign(受胎告知の聖処女)、その外側に天使象、預言者、ならびに. Hymnographers(聖歌作者)が描かれている。.


注:Our Lady of the Sign
 このイコンが描くのはテオトコス(聖女マリア)である。彼女は受胎告知を受けた瞬間で次の言葉を言っている。「わたしは主のはしためです。お言葉どおりこの身に成りますように」。(ルカ 1:38)子供のキリストの姿は処女の子宮のなかで彼が告知された瞬間の彼に似ている。彼は胎児としては描かれておらず、むしろ神の衣服を着ているように見える。そして教師としての彼の役割を象徴するように巻物をもっている。彼の衣服は神の栄光を象徴するために金色或いは銀色とすることもある。キリストの二つの特質を象徴するために青色、あるいは赤色にすることもある。(see Christology) 顔は一人の老人のように描かれる。これによりキリスト教信者に次を教えることとなる。すなわち、彼は同時的に完全な幼児であると同時に三位一体の一つである永遠の「神」なのである。彼の右手は祝福のために挙げられている。
 Virgin of the Sign or Our Lady of the Signという術語はイザヤ書7:14の預言に基づいている。:「それゆえ、主みずから、あなたがたに一つのしるしを与えられる。見よ。処女がみごもっている。そして男の子を産み、その名を『インマヌエル』と名づける。」このような画像はしばしば正教会の聖壇の上の聖所後陣に描かれる。(引用


注:ルカ 1:38
1:26六か月目に、御使ガブリエルが、神からつかわされて、ナザレというガリラヤの町の一処女のもとにきた。 1:27この処女はダビデ家の出であるヨセフという人のいいなづけになっていて、名をマリヤといった。 1:28御使がマリヤのところにきて言った、「恵まれた女よ、おめでとう、主があなたと共におられます」。 1:29この言葉にマリヤはひどく胸騒ぎがして、このあいさつはなんの事であろうかと、思いめぐらしていた。 1:30すると御使が言った、「恐れるな、マリヤよ、あなたは神から恵みをいただいているのです。 1:31見よ、あなたはみごもって男の子を産むでしょう。その子をイエスと名づけなさい。 1:32彼は大いなる者となり、いと高き者の子と、となえられるでしょう。そして、主なる神は彼に父ダビデの王座をお与えになり、 1:33彼はとこしえにヤコブの家を支配し、その支配は限りなく続くでしょう」。 1:34そこでマリヤは御使に言った、「どうして、そんな事があり得ましょうか。わたしにはまだ夫がありませんのに」。 1:35御使が答えて言った、「聖霊があなたに臨み、いと高き者の力があなたをおおうでしょう。それゆえに、生れ出る子は聖なるものであり、神の子と、となえられるでしょう。 1:36あなたの親族エリサベツも老年ながら子を宿しています。不妊の女といわれていたのに、はや六か月になっています。 1:37神には、なんでもできないことはありません」。 1:38そこでマリヤが言った、「わたしは主のはしためです。お言葉どおりこの身に成りますように」。そして御使は彼女から離れて行った。
口語訳聖書 - ルカによる福音書から)




ヴォロネット修道院

                    

                     画像:"Medieval Monuments of Bukovina" ACS, P193
                     ヴォロネット修道院、ナルテックス、天井
                     受胎告知の聖処女


拡大画像:
               



その他の例:
聖ソフィア大聖堂

                   

                   画像:Our Lady of the Sign(ノヴゴロドの受胎告知の聖処女)
                   12世紀前半
                   Orans(オランとは祈りの姿勢、通常直立し、肘を身体の両脇に寄せ、

                   手は外側に差し出し、掌を上に向ける)
                   59cm ×57.2cm
                   聖ソフィア大聖堂、ヴェリキー、ノヴゴロド


「ノヴゴロドの受胎告知の聖処女」はオラン・スタイルのイコンであり、12世紀の前半に作られた。このイコンは中世のノヴゴロドで作成された。このイコンはロシア正教会とロシアの北西部の主な寺院のなかでもっとも崇拝されているイコンの一つである。過去、このイコンはノヴゴロド共和国の主たるイコンであり、このイコンに栄光を与えた出来事によりノヴゴロドの主権と共和政体の象徴となった。
(解説:Wikipedia: Our Lady of the Sign (Novgorod))


画像:Google Map, 2016


画像:ヤロスラヴ賢明王の息子であるウラディミール・ヤロスラヴィックの後援により、1045年から1050年の間に建てられた聖ソフィア大寺院、ノヴゴロド。

         

          画像:聖ソフィア大聖堂、ノヴゴロド。内部。王門の右にOur Lady of the Signが見える。