03. annunciation  受胎告知

 

ルカ1/31-38

1:31見よ、あなたはみごもって男の子を産むでしょう。その子をイエスと名づけなさい。 1:32彼は大いなる者となり、いと高き者の子と、となえられるでしょう。そして、主なる神は彼に父ダビデの王座をお与えになり、 1:33彼はとこしえにヤコブの家を支配し、その支配は限りなく続くでしょう」。 1:34そこでマリヤは御使に言った、「どうして、そんな事があり得ましょうか。わたしにはまだ夫がありませんのに」。 1:35御使が答えて言った、「聖霊があなたに臨み、いと高き者の力があなたをおおうでしょう。それゆえに、生れ出る子は聖なるものであり、神の子と、となえられるでしょう。 1:36あなたの親族エリサベツも老年ながら子を宿しています。不妊の女といわれていたのに、はや六か月になっています。 1:37神には、なんでもできないことはありません」。 1:38そこでマリヤが言った、「わたしは主のはしためです。お言葉どおりこの身に成りますように」。そして御使は彼女から離れて行った。

 

モルドヴィツァ修道院

 

画像:2016/06/02撮影。モルドヴィツァ修道院、南側外壁最上部。受胎告知と出産

 

                       拡大図:左側から二枚目

                       受胎告知

                      

                       大天使ガブリエルがマリアに告知する。

 

              拡大図、右側から2、3枚目

            

              画像:(左)マリアのエリザベトご訪問、(右)マリアのナザレ村の大工、ヨセフとの結婚。

 

解説:『ビザンティンの聖堂美術』益田朋幸 中央公論新社 2011、P58

 

 ・・・・・「受胎告知」でマリアに聖霊が下り、乙女は妊娠した。一方マリアの親類にエリザベトという女性がいて、老齢ながら神の恩寵によって、マリアより半年前に妊娠していた。

 

マリアは出かけて、急いで山里に向かい、ユダの町に行った。そして、ザカリアの家に入ってエリザベトに挨拶した。マリアの挨拶をエリザベトか聞いたとき、その胎内の子がおどった。エリザベトは聖霊に満たされて、声高らかに言った。「あなたは女の中で祝福された方です。胎内のお子さまも祝福されています。……あなたの挨拶のお声をわたしが耳にしたとき、胎内の子は喜んでおどりました。主がおっしゃったことは必ず実現すると信じた方は、なんと幸いでしょう」(ルカ一:三九~四五)

 

 長いこと子に恵まれなかったヨアキムとアンナという夫婦が、神の恵みによって女の子を得た。名をマリアとする。マリアは神に授かった子なので、神殿に仕える巫女にしようと両親は考えた。三歳になったマリアは神殿に預けられ(「聖母神殿奉献」)、ザカリアという祭司のもとで成長する。のちに神のお告げによって、マリアに花婿が決められることになり、神が選んだのかナザレ村の大工、歳をとったヨセフであった。

 マリアを預かった祭司ザカリアにはエリザベトという妻がおり、これがマリアの親戚であった。エリザベトにもマリアにも、天使が訪れて妊娠することを告げる。エリザベトのほうが半年早く天使が現れたのであった。エリザベトが産むのは、後にキリストに洗礼を授けることになるヨハネである。・・・・・・(左画像の)左方にいるのが訪れたマリア、右側が待ち受けたエリザベト、ということになる。エリザベトが歳とっていることを強調するために、画家はヴェールからはみ出した女の髪を白く描いている。

 神によって身ごもった二人の女は、身の幸いを喜ぶとともに、神を讃えた。そして「マリアは、三か月ほどエリザベトのところに滞在してから、自分の家に帰った」(ルカ一:五六)のである。

 

注:

イコンの世界では受胎告知される女性は三人いる。一人はキリストの母親のマリアであるが、ほかにマリアの母親、アンナとエリザベートがいる。ヨアキムとアンナからマリアが生まれたことは上の文章で読み取れる。(40. Annunciation to anna アンナへのお告げ を参照せよ)

 

モルドヴィツァ修道院

                    

                   画像:2016/06/02撮影。モルドヴィツァ修道院。ナルテックスから埋葬室への入口上部。

 

周辺の様子:

画像:2016/06/02撮影。