1. Humor Monastery  フモール修道院

 

画像:2016/06/02撮影。聖所から聖障(Iconostasis)越しに至聖所を眺める。イコンで埋め尽くされた聖障の奥(上方)に至聖所のフレスコ画の一部が望まれる。

画像:上の写真の撮影方向

 実に素晴らしい芸術作品ですね。

 

 参拝者がのぞき見ることのできる至聖所の聖母子像の一部は次。

画像:2016/06/02撮影

 

 至聖所(聖障の奥)へ入れるのは聖職者だけであるから、一般人は至聖所の壁画の全体像がどのようなものであるか知ることができない。”Medieval Monuments of Bukovina” ACS Publishing, 2nd edition, 2015 P206に至聖所の壁画写真があるから、これを転載する。他の修道院でも至聖所の壁画のテーマは必ず同一である。ドームの部分に四人の大天使を伴う聖母子が描かれ、下段に聖体拝受(左がパン、右がワイン)の図柄が描かれる。(なお、24. Our Lady of the Signを参照せよ。)

 

画像:”Medieval Monuments of Bokovina” ACS Publishing, 2nd edition, 2015 P206

 

説明: 内陣の東端突き出し部分に注意を向けると、私たちはこの聖所と祈祷式との間の関係について、また神学上の必要性に適合する図像的なプログラム(要項)の意味合いについて注目させられることになる。聖処女が大天使によって崇拝されて半円形ドームの中央に位置する。一方、子羊は聖処女が生んだ息子の犠牲を象徴する。この犠牲の反復は中段のなかでの通常の聖餐拝領の場面によっても強調されている。司教達の円形画像の列の下に幼児のキリストが金属製の薄い丸皿(Paten)に載って窓の下の部分にいる。そしてキリストの前に身体をかがめた聖人達の列が両側から挟むように聖餐式に参加している。

(”The Medieval Monuments of Bukovina” ACS Publishing, 2nd edition, P205から)

画像:2016/06/02撮影。フモール修道院。身廊、中央アーチ

 

画像:2016/06/02撮影。身廊、南後陣のコンクに描かれているのは「磔刑」。


上図の拡大図。

 

画像:2016/06/02撮影。身廊、反対側、北側後陣のコンクに描かれているのは、「アブラハムの歓待」、別名「マムレの樫」。

上図の拡大図。

 

 フモールの特異性のある他の図像学的なプログラムは、二つの後陣において場面の選択と順序である。それら二つの上の巾広のアーチ部分には、南部分には、学者達とともに寺院にいる12歳のキリスト-モルダヴィアにおいて比較的屡々用いられる構成-であり、北部分にはペンテコスト(過ぎ越しの祝い)が描かれている。南側後陣のコンク(半円形屋根部分)には「アブラハムの歓待」(あるいは「マムレの樫」)が描かれているが、これは正教会で三位一体の表現として許されている唯一のものである。北側後陣のコンクにえがかれているのは、「磔刑」である。これらの後陣に隣り合わせに描かれている四枚の「復活後の日曜日」は近年の作である。

(”The Medieval Monuments of Bukovina” ACS, P205、207から)

 

次へ