ミャンマーの金箔(1)
ミャンマーへ行ったことのある人なら誰でも知っているチャイティーヨのゴールデン・ロックです。目映いばかりに金色で装飾されています。
ここはミャンマーの首都ヤンゴンのシュエダゴンパゴダです。ここも金色です。大袈裟に言えばミャンマーの仏教寺院はすべて金色に装飾されているのです。
釈迦牟尼は多分西暦前500年頃インドで活動されたらしいのですが、西暦2-4世紀になって初めて(今はパキスタンの)ガンダーラで鍍金の仏像が造られ、それからすこし後に、今のインドのマトゥラーでも仏像が造られたのです。しかし、マトゥラーの仏像は金色相が欠けていました。仏像に金箔が貼られていませんでした。その近くのサールナート仏像も金色相がかけていたことはすでにお話しましたね。
一方、ガンダーラの仏像の鍍金は金箔を使ったらしいのですが、イスラムの擡頭とともに金箔製造技術は失われたようです。だから、今現在アジアに残る最古の金箔製造技術はどうやらミャンマーだと考えられるわけです。
2006年12月にユーラシア旅行社のミャンマー旅行ツアーに乗ることになった機会を掴まえ、ミャンマーの金箔屋を上っ面だけ見学することができました。
以下、その報告書です。
訪ねたのはマンダレーの
King Galon Gold Leaf Workshop
No.143, 36th St, between 77th&78th St. Myet-Parr-Yart, Mandalay, Myanmar
場所は、
画像:Google Map, 2016
これがKing Galon。左方に見えるのが作業場。
金箔の製造方法
まず金地金を圧延して、細いリボン状に加工し、これを切断し、
第一工程で30分叩く。右が地金、左が圧延後。
これを六等分し、
第二段階の箔打ちを30分行ない、
箔移しをし、第三段階の叩解前の金箔です。
大判の箔打紙に移して5時間叩く。これが三回目の箔打ち工程。
若者が台座に乗り、石製の基台の上に置かれた皮袋を金槌で叩いています。この人、5時間叩き続けるのです。まことに原始的な製造法ですが、日本でも昔は金槌でたたいていたことはすでに金薄工の生活実態の項でお話しましたね。大正4年に三浦彦太郎がドイツの機械を導入するまでは、日本人の金薄工も金槌を使っていたのです。
箔打紙に金箔片を挟み、衝撃緩和のために上下から藁紙を当て、皮袋に挟んだ包みを竹ひごと木製の棒とで支え、石基礎に当てて、叩くのです。
金箔延伸の際に、クッション目的で使う藁紙です。
打ち上がった金箔を小さく切りとり箔紙に移して完成品となる。日本では竹へらを使うが、
ここでは水牛の角箸を使用する。静電気対策である。