2015年末随感

2015/12/30

 

 いよいよ歳の瀬も押し迫ってきて、2015年もあとわずかになってしまいました。

 皆様にはご機嫌よくお過ごしのことと存じ上げます。

 

 私たちの年代は、「年寄りか?」と聞かれると、「いやいやなかなか」と答えたくなる中途半端人間なのかも知れません。私のようにひとりぽっちで○○市のアパートで寂しく暇をもてあましている人間もおれば、誰かさんのように今でも忙しくしていて、「一緒に飯でも食おうか?」と尋ねると、「ちょっと待ってや、調べるからな」と手帳と相談するほど忙しくしておられる方もおられる。

 

 

              

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 表日本に住んでおられる方々は、冬は天気がよいから「どこか出かけるか」と外出される方が多いと思うけれども、裏日本に住む人にとっては冬は惨めなもので、寒さと雪と湿度があって、外に出る気がしない。まあ、炬燵に入って、ウルメイワシを二匹、クッキング・ペーパーで弱火で焼いて、それを囓りながら本を読むくらいしか能のない人間になる。

 

 私は大学時代から濫読の傾向があって、大概の本は読んでしまっているから、大げさな表現を使えば、「日本語の本は読み飽きた」状態なので、今は英語の本くらいしか読まない。といっても、文学部の出身ではないので、読むスピードはのろのろしている。ときどき辞書を引いたりするので、一冊の本を読むのにまあ二週間くらいはかかる。といっても中味が面白ければ、の話なのだが。

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 こういう手前勝手な人間は読む本を自分の金で買ったりしない。読む本はかならず図書館で借りる。○○市には立派な図書館が三つもあるから、そういう意味では有難い。

 

 昔は分厚いペーパーバックを本屋で買って、一週間もかからずに読み切ったものだが、最近は集中力が衰えて、とても面白い本でも2時間も読みつづけることができない。そういうときは横にテレビでもつけておいて、疲れたらテレビをバックグラウンド・ミュージックにして昼寝をする。約1時間ばかり寝ると頭がすっきりするから、また読める。

              

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 最近読んでいる本は「Extreme Measures」(非常手段)。作者は(もう死んでしまったが)、Vince Flynn。イスラムのテロリストからのテロを防ぐためのCIAの外郭団体非合法組織で働くMitch Rappが、テロリスト集団を相手にやりたい放題をやる。実に痛快だ。こういう本を読んでいると、最近のパリで起きたイスラム国によるテロリスト襲撃事件の背後がよく理解できるようになる。日本人の平和ボケが解消されたような気がして実に楽しい。この小説は襲撃現場がワシントンDCだから、4年前にワシントンDCをほっつき歩いた経験がある私にとっては二重に楽しい。ただ、この作者は腕が奔放な作者だけに、勝手に単語を自分で作っちゃう。日本で売っている辞書では間尺にあわない。そういうところもまことに楽しい。作者による造語が多い所為なのかこの作者の翻訳本はわずか二冊しかない。きっと翻訳し辛いのだろう。でも原書はほぼすべて大ベストセラーなのだ。

 

 こう書くと、実に楽しい隠居生活なのだが、実際はそうでもない。問題は金がないことだ。○○先生は「ちゃんと年金ももらっているのに、どうしてそうなるんだ」と問い糾されるが、うちのカーちゃんが締め上げてくださるので、いつもピーピーの状態なのだ。というより、私の金使いが荒いことが原因のようだ。最近は私も分かってきて、なにか買いたくなったらカーちゃんに電話をかけて「どうかなあ?」と相談する。彼女の返事は決まっていて、「物は買わないでください」だ。こういう次第で手足を縛られ、口にも接着テープを貼られたような状態となっている。辛いね。

              

                 画像:Indagine a Firenze

 イタリア語はちゃんとやった。三ヶ月かけて190ページもある会話本を丸暗記した。これでいつイタリアへ行っても旅会話くらいなら話せる自信がついた。次の中級の英国本は昨日私の家に到着したが、これはかなり骨が折れる。単語を調べ、文法を調べ、CDを聴き倒し、コツコツやらなければ進まないだろう。

 

 だから来年は、イタリア語中級が目標となりそうだ。

 

 では、皆様どうぞ良いお年をお迎えください。