01. the Tree of Jesse エッサイの木
エッサイ(英語: JesseまたはYishay, ヘブライ語 יִשַׁי, ギリシア語: Ιεσσαί)とは、『旧約聖書』の登場人物であり、ダビデ王の父。
解説:
エッサイの木とは、キリストの先祖の美術描写である。それはダヴィデ王の父であるベツレヘムのエッサイからスタートする一本の木のなかに示されている。そしてそれは家族の木を家系の系統的表現として独創的に使用している。これはもともと聖書イザヤ書の一節から出発している。この一節が比喩的に救世主の家系について述べ、キリスト教信者達がこれはキリストを引合いにしたものだと受け取っている。イエスの血統のなかで描かれる様々な人物は、マタイによる福音書とルカ福音書に挙げられている名前から引かれている。
モルドヴィツァ修道院
画像:2016/06/02撮影。Moldoviţa
ブコヴィナ(Bukovina)では、エッサイの木は通常画像の右側にギリシャの哲学者を描く。
この壁画の右側に控え壁があるのだが、その西側側面の下から二番目にある画像は次。
画像:ここに見える画像は左がギリシャの哲学者・プラトン。右がサミアン・シビル(Samian Sibyl)。彼女はギリシャ植民地であったサモス島ヘラ神殿の至聖所を治めていた巫女。彼女はキリストが馬小屋で誕生することを預言した。この絵はThe Tree of Jesse(エッサイとはダヴィデ王の父親の名。ダヴィデ王の父親から出発して旧訳聖書の人物を描く)の画面の右側の控え壁の左側面、下から二番目の絵である。
(解説:”Moldoviţa Monastry”)
注:プラトンが引合いに出される理由なのだが、プラトンが人類史上初めて「ロゴス」の存在を唱え、アタナシオスが「ロゴス」を「聖霊」であると解釈し、結果として「三位一体」理論が成立したものであるから、これらの東方正教会でプラトンを筆頭とするギリシャ哲学者達を壁画に描いても、理屈上の辻褄はきちっと合っている。この理屈上の辻褄は東方正教会の勢力領域のなかで、現在でも通用している。ルターなどの(「ロゴス」そのものを否定する)新教主義がこの地方では発生しなかったからである。
スチェヴィツァ修道院
画像:”The Suceviţa Monastery” ⓒ2009 TIPODEC ‘95
スチェヴィツァ修道院南面の「エッサイの木」。下段にギリシャの哲学者が描かれている。